2022年9月24日 お遍路3日目
昨日は気持ちよく眠りについたはずなのに夜中に目が覚める。
時計を見ると午前3時過ぎ。
目覚めはいいけど、ぎっくり腰で痛めたところが昨日より悪くなっている。
あと、バックパックの肩ひもがずっと当たっていた肩のあたりも痛い。
そして、足の裏もひりひりした痛みがある。
我慢してほったらかしにしていると、必ず我慢の限界を超えて歩けなくなってしまいお遍路強制終了になってしまう。
どうしよう?
3日目にして出てきた体の不調にどう対処する?
今日は11番藤井寺のみで、宿は旅館吉野を予約済み。
約10kmの道のりなのでゆっくり歩いても3時間もかからずについてしまう。
宿のチェックインは15時で普通に歩いたら時間を持て余してしまいそう。
なのに朝3時に起きてしまうなんて。
思いのほか重宝した手作り足裏パット
せっかく早起きしたのに悩んでいても時間がもったいない。
昨晩住職さんに言われたことが気になっていたし、取り敢えず荷物の見直しをしてみることにした。
すると薄いスポンジ素材でできたアイマスクが目についた。
これを半分に切ってバンドのゴムの片方を縫い付けて、足裏にあてたらひりひりした痛みに対処できるんじゃないか?
時間もたっぷりある。
針と糸を取り出し足裏パッドっぽいものを作ってみた。
これがこれから先のお遍路を通してめちゃくちゃ役に立った。
足裏やかかとなどちょっと痛みがあると手作り足裏パッドで保護したり、マメが出来た時も皮が破れないようにするのに効果的だった。
住職さんに指摘されて決意したこと
昨晩、温泉からの帰りの車中で住職さんに私の背負っている荷物について聞かれた。
荷物が重そうに見えるけど何が入ってるの?
電動歯ブラシとか電池とか。なんか色々です。
消耗品なのでどんどん減っていくはずなので重いのは今だけです。
電動歯ブラシって本当に必要?
うちにも無料の使い捨て歯ブラシ置いてあるよ。
荷物減らしたほうがいいんじゃない?
すごく負担になっているように見えるんだけど。
その時は荷物を減らすつもりはなかった。
ただ、一晩寝ても足や肩の痛みがあることを考えると悩んでしまう。
まだ1か月以上は歩かないといけない。
1日の疲労の蓄積と体の回復力のバランスが崩れると最後まで歩き通せない。
サンティアゴ巡礼の時に身に染みてわかったことだ。
そして、今までたくさんのお遍路さんを迎え入れてきた住職さんが私を一目見て荷物が多すぎると判断した。
お遍路初めて3日目にして荷物を送り返すなんて不本意ではあるけど、これからのことを考えて荷物を減らすことに決めた。
住職の奥様に荷物を送りたいことを相談したら、段ボールとガムテープを用意してくれた。
ありがたい。
家に送り返した荷物
歯磨きは手動でできるので電動歯ブラシと電池。
そして、洗剤と洗濯ばさみ、小さめの物干しハンガー。
サンティアゴ巡礼の時は宿に洗濯機がなかったり、あっても5ユーロから10ユーロぐらいで高額だったのでなくてはならないアイテムだった。
でも、お遍路は宿に必ず洗濯機があるし大体100円から200円で使えるので不要と判断。
サンダルもかさ張るし、2件しか泊ってないけど宿にはサンダルが用意されていたのでこれも手放そう。
あとはモンベルのカッパの上だけを持っていたのでポンチョも送り返した。
その他石鹸やヘアオイル、緑茶のティーバッグなどなくても何とかなるし、必要だったら買えばよいと思ったものを段ボールに詰めた。
段ボールに詰めて、持った感じでは大した重さではないんだけどな。
住職さんが近くのコンビニまで車で連れて行ってくれた。
宅配料金は1,930円。高すぎてびっくりだよ。
言う通りにして良かった!住職さんのアドバイスに感謝!
8:55、宿を出発。
宿から11番に向かうので送迎はいらないと言ったんだけど、
昨日迎えに行ったところまで送っていくよ。
ここから行ったほうが11番まで近いけど、
昨日の続きからだと河原沿いを歩くからすごく景色がいいよ。
絶対そっちのほうを歩いたほうがいいよ。
住職さん、朝早くから車で走り回っていてすごく忙しそうなのに、そんなことは関係なく、
昨日のところまで戻って歩いたほうがいいと、勧めてくれた。
お言葉に甘えて、車に乗せてもらい10番近くの金沢商会まで送ってもらった。
たった1日だけだったけどめちゃくちゃお世話になった住職さんに別れを告げ、藤井寺に向けて歩き出す。
絶景と香川県のおじさん
天気は快晴。
荷物の重さは1㎏ぐらいは減ったのかな?なんか楽な気がする。
のんびりゆっくり歩いていると堤防がありそこを登るとワクワクするような景色が広がっていた。
これが住職さんが言っていた景色なんだ。
「今、自分はお遍路を歩いている。」という瞬間を味わいながらのんびり、ゆっくり歩いた。
ところどころに彼岸花が咲いている。
ちょっと、時期が遅かったのか既に花が終わっているものが多かったけど、すごく風情があってよい。
歩いていると比較的彼岸花がまとまって咲いているところがあった。
ここで花を眺めていると1台の車が止まり、おじさんが2人降りてきた。
この車、歩いている時もちらほら見かけていて、不自然に徐行運転したり止まったりしてすごく怪しいなと思っていた。
「なんでわざわざ車から降りてくるの?」
もう、警戒心マックスだった。
あの~、彼岸花を背景に菅笠をかぶった後姿を写真に撮らせてもらえませんか?
えっ!?
話を聞くと、彼岸花とお遍路さんの組み合わせで写真を撮りたくてさっきから私の後をついてきて、話しかけるタイミングを狙っていたそうだ。
やっと、お遍路さんに会えましたよ。
しかも菅笠かぶっている人探してたんですよ。
ということで1枚写真を撮ってもらった。
赤い彼岸花と墨文字の入った菅笠の仏教的な雰囲気が相まってなかなか素敵な写真だった。
写真もらっておけば良かったな。
このおじさんたちは、香川県の方で休日を利用して写真を撮りに徳島に来たとのこと。
ワクチン3回打ったのにコロナで重症化し肺炎になって入院したことや、写真コンクールで入選するのが難しいとか、大窪寺や金毘羅山の話など1時間ほどした。
おじさんたちはこれから切幡寺のほうへ行くと言って車で去っていった。
車を見送りながら、もう、このおじさんたちとお会いする機会はないんだなと不思議な気持ちになる。
一期一会について思いを巡らせながら、私も再び歩き始める。
まだまだ美しい風景が続く。気持ちがいいな〜。
吉野川を渡り、しばらく歩くと河原の道は終わってしまった。
のどかな風景と無人の接待所で一休み
車の往来が多い道路に出たけど、そこを越えまたしばらく歩くと首を垂れた稲穂の景色が広がる。
道しるべがほとんどないのか見落としているだけなのかわからないけど、気づくと別な道に逸れていたりする。
時々畑仕事をしている人に道を聞いたりしながら歩いていると、素敵な建物を発見した。
人は誰もいないけど、お菓子が置いてあり扇風機もある。
さらに裏手にはトイレも自販機もあった。
ここで扇風機の風にあたり、お菓子を頂きながらしばし休憩。
休憩できるのもありがたいけど、こういう建物があると道が間違っていない目印になるから安心する。
20分ぐらい休憩していたけど、お遍路さんはおろか近所の人さえ見かけなかった。
静かで居心地が良い。のどかだな~。
トイレを借りて再び歩き出す。
しばらく歩いていると敷島神社の鳥居がお出迎えしてくれた。
いや、違った。お出迎えではなくお見送りだった。
敷島神社を通り過ぎてしまっていたようだ。残念…。
11番藤井寺 清々しい空気と大迫力の龍がお出迎え
敷島神社の大鳥居から20分ほど歩くと11番藤井寺に到着した。
藤井寺はこじんまりとした静かなお寺だった。
改修からかなりの年月が経っているのか色褪せた壁が時間の経過を感じさせてくれる本堂。
ずっとずっと長い間、お参りに来たお遍路さんたちを静かに温かく迎えてくれていた空気が感じられる。
本堂の天井には見事な雲龍が描かれているとのことで扉の中に身を乗り出して天井を覗いてみた。
お〜、これはすごい!
昭和52年に地元出身の画家が描いたものということで本堂の外観と違ってそんなに古いものではない。
でも、天井一面に描かれている雲龍は迫力がありかっこよかった。
お参りを済ませ、12番焼山寺に続く山道のあるほうへ行ってみる。
そこは焼山寺への山道のほかに、四国88か所の御本尊が祀られている祠が点在していてぐるっと一回りすることができる。
お手軽にお遍路を体験できるようになっているのかな。
滝があったり、お地蔵様が並んでいたりととても静かで癒される空間だった。
滝のマイナスイオンのお陰か、空気がしっとりしていて深呼吸すると生き返る気分だ。
今日の朝、「肩が痛い、足が痛い、腰が痛い、どうしよう。」
なんて思っていたけど、今は大丈夫。
荷物を減らしたお陰かな?手作り足パッドも中々いい仕事をしてくれた。
明日の焼山寺の登山口を確認し、少しチェックインまで早いけど今日の宿へ向かった。
3日目まとめ 清潔な空間と美味しいご飯のありがたみを実感
藤井寺から旅館吉野へ行く途中に「へんろの里」という場所がある。
「とある歩き遍路の道しるべ」というブログを書かれている方で今回のお遍路で大変役に立ったブログだ。
私が行ったときは不在で、携帯番号が案内されていたんだけどかけなかった。
今思えば電話してでもお会いしたかったな。
旅館吉野
旅館吉野は藤井寺から歩いて10分もかからない距離でめちゃくちゃ便利な立地。
さらに親切、清潔、ご飯も美味しいとのことで大変人気の宿だ。
1週間近く前から予約を入れていて楽しみにしていた。
評判が良かったのでかなり期待していたけど、裏切られることなく期待通りに快適な宿だった。
- 難所の焼山寺の前泊には最高の立地
- ご飯が美味しい おかわりもできる
- 部屋に洗面所がついていて便利
- 部屋もトイレもお風呂も全て清潔
- 宿の人たちが親切で安心
- Wifiが早い
- 風呂にバスタオル、フェイスタオルが用意されている
- 布団が敷布団の他にマットレスもありふかふかで寝心地が良かった
- 宿の周りは店も何もない
- 夕ご飯のトンカツが冷たかったのが残念だった
揚げ物、焼き物、酢の物等手の凝った料理が並ぶ。
全部美味しかったけど、とんかつが冷めていたのが残念だった。
家族で経営されているので致し方無いのかなと思うけど。
ご飯もおかわりができ、2杯食べた。
お腹いっぱいで満足度の高い夕食だった。
3日目 使ったお金
荷物を減らすために、朝ごはん、昼ごはんともに持ってきていたカロリーメイトとチョコバーでしのいだ。
・交通費 0円
・宿泊費 7,300円 1泊2食、翌日のおにぎり含む
・洗濯代 100円
・食 費 140円/自販機ジュース140円
・御朱印 300円(11番)
・その他 1,930円/配送料(徳島-函館間 サイズ80)
・合計 9,770円
今日の行程とちょこっと日記
歩行距離 12.0km
車での走行距離 6.3km
今日は充実した1日だった。
天気にも恵まれた。
青い空、赤い彼岸花、黄金色の稲穂、あと茄子の紫も、すべてが色彩豊かで、さらに太陽の光を受けて色鮮やかさが増し美しかった。
藤井寺のしっとりと水分を含んだ濃い緑色の苔も爽やかで心が洗われたような気分にさせてくれた。
宿は15時前だったけどチェックインさせてくれて、一番乗りだったのでお風呂も一番だった。
お風呂にはバスタオルもフェイスタオルも用意されていて、布団もふかふか。
ご飯も盛り沢山でいっぱい食べて幸せだ。
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