2022年9月23日 お遍路2日目
4時過ぎに目が覚めた。
まだ夜明け前であたりは真っ暗。
でも、眠気はまったくない。
身支度をしようと布団から体を起こすと、先月ぎっくり腰で痛めたところに少し痛みがある。
スマホで最新の天気予報を確認すると今日は大雨、明日は台風が上陸するという。
体調も天気も雲行きが怪しすぎて不安。
無理は禁物はサンティアゴ巡礼で痛いほどわかっている。
ゆっくりゆっくり歩こう。
6つのお寺を参拝 それぞれ特徴があって楽しい!
あんまりお腹が空いていないけど、朝ごはんを食べて7時半過ぎに出発。
靴は乾燥機のおかげでしっかりと乾いていてよかった。
車で4番大日寺まで送ってもらい、そこから5番地蔵寺に向けて歩き始めた。
送迎は本当に有難い。
5番地蔵寺 等身大ブッダのお弟子さんたちがお出迎え
まだ雨脚は強くない、というかほとんど降っていない。
地蔵寺までは2kmほどで、舗装された道路を真っ直ぐ下っていくだけ。
黙々と歩いていると地蔵寺奥の院の案内があったのでその案内にしたがって右に曲がったら五百羅漢堂というところに着いた。
拝観料200円かかるけどせっかくなので寄り道してみることにした。
まるでお化け屋敷!?地蔵寺奥の院五百羅漢堂
中は薄暗く、提灯の明かりにぼんやりと照らされた無数の木像がずらっと並んでいる。
他に人はいなくて自分一人だけ。なんか怖いな。
火事などで半分以上が焼けてしまい現在は500体のうち約200体残っているそうだ。
200体でも圧巻だ。
しかも、等身大とのことでみんな強烈な個性をもっていておもしろい。
そして一番印象に残ったのがこちらの仏像。
自分のお腹を自分で開いているのが斬新すぎて目が離せなかった。
このままお腹の穴に吸い込まれてしまいそう…。
後で確認したらブッダの息子のラーフラさんという方だそうだ。
どうしてお腹開けているんだろう?
親切な地蔵寺の納経所
五百羅漢堂から階段を下りていくと地蔵寺の境内に着いた。
参拝を済ませ納経所に行く。
お金が一万円札しかなくて、「一万円でも大丈夫ですか?」と聞くと快くOKしてくれた。
さらに、「100円玉もいれますか?」と聞いてくれる。その気遣いすごく嬉しい。
そして、帰り際に「お気をつけて。」と声をかけてくれて、ほんのちょっとしたことだけどさらに嬉しくなった。
8:37、6番安楽寺に向けて歩き出す。
6番安楽寺 神様の気配を感じた!?かも
安楽寺まで約5km。
道しるべを頼りに歩いていく。
気づいたら道1本違うということもあるから、グーグルマップで現在地を時々確認しながら歩いた。
9:52、安楽寺に到着。順調だ。
安楽寺は宿坊があり、お風呂が温泉ということで泊まりたかったんだけど、数日前にネットで空き状況を確認したら、すでに満室になっていた。
境内は清らかで穏やかな空気が感じられて、すごく心地良かった。
この雰囲気とか、空気感ってなんなんだろう?
伊勢神宮に行った時もこの空気感を感じた。
もしかしたらこれが神様の気配というものなのかな。
後ろ髪引かれる思いで安楽寺を後にする。
7番十楽寺 納経所の女性が不機嫌で怖かった
安楽寺と十楽寺は目と鼻の先だ。
10分ほどで着いた。
ここで初めて歩き遍路っぽい人を見かけた。
すごい大きなバックパックにマットをくくりつけていたので野宿お遍路さんかもしれない。
一通り参拝を終えてから納経所に行ったんだけど、そこで一気に十楽寺のイメージが悪くなった。
納経所の女性がどうやらご機嫌斜めらしい。
弘法大使御誕生1250年記念スタンプは自分で押せとのこと。
スタンプを押して出発しようと思ったらその女性に「スタンプの蓋を閉めてっっ!」ときつく注意された。
スタンプの蓋は最初から開いていたから閉めなかったんだけど。
で、蓋を閉めたら、蓋の上に「蓋は閉めてください。」と注意書きがしてあった。
こういう注意書きは蓋を開けた状態で見える場所に貼っておけば、みんな閉めるんじゃない?
たいしたことではないけどいろいろと残念なお寺だった。
8番熊谷寺 雰囲気最高。演出力の高さに脱帽!
10:53、次の8番熊谷寺向けて静かな住宅街を歩く。
うん?!
わっ!
へ、へ、へびっ??
民家の塀だよ?
こんなところに1mを優に超える大きな蛇が普通にいるなんて徳島すごいな。
確かに広い草むらとか多いけど、山や藪と違って人の生活感みたいなものが普通にある場所で蛇がいるなんてびっくりだ。
次の熊谷寺まで4㎞程。広い原っぱと家が点在する風景を楽しみながら次のお寺に向かう。
でも、まだ自分がお遍路を歩いているという実感があんまり沸かない。
1時間程歩いて12時過ぎに8番熊谷寺仁王門に到着。
そこから上り坂を少し歩くと、熊谷寺の駐車場が見え本堂へとつながる小道がある。
その道を進んでいくと、どこからともなくお坊さんたちの重厚なお経が聞こえてきた。
「どこから聞こえてくるんだろう?」
あたりを見回す。
しっとりと水分を含んだ苔。
濃い緑の隙間から差し込む一筋の光。
あまりにも美しく清らかな雰囲気にただただ立ち尽くしてしまった。
心が感動している…。
ふと上を見上げた瞬間、すべてを悟ってしまった…。
スピーカーから流れるお経…。興ざめだ。
我に返り、恥ずかしくなった。
少し騙された感はあるけど、このは演出は大好きだ。
ただ、最後に納経所で「駐車場料金はこの箱に入れてください。」と、当たり前のように言われたのはむかついた。
速攻で「歩きなので。」と言って断ったけど。
9番法輪寺 猫ちゃんたちに癒される
12:39、次の法輪寺へ向けて出発。
3kmないぐらいの距離でずっと農道を歩く感じだった。
あたり一面田んぼで視界が開けて清々しい。
お昼も過ぎたのに雨が降り出すどころか天気が回復してきたぞ。
平坦な道のりだけど荷物の重さが肩にのしかかってきてだんだん辛くなってきた。
法輪寺は今までのお寺とは違い田園の中にひっそりと佇むこじんまりとしたお寺だった。
こんなお寺も親近感があっていいな。
お昼がまだだったのでご飯を食べようとベンチの方に行くと先客がいた。
近づくと逃げて行ったのでのら猫かなと思ったけど、境内を見るとご飯の入れ物があり、お寺で面倒を見ているようだ。
何匹かいて、みんな丸々としていてかわいかったな。
猫さんパラダイスでつい長居してしまった。
10番切幡寺 階段地獄を登り切った先にある見事な重要文化財
切幡寺までは4km程。
引き続き水田や畑を眺めながら農道のような狭い道を歩く。
こんな狭い道なのに一方通行ではないので、対向車が来たらどうするんだろう、と思った。
切幡寺付近に来ると、車の往来が多くなり、歩いている人がやたら多い。
門柱のある通りは出店が出ていて地元の人たちで激混みだ。
どうやら今日は縁日らしい。
その門柱のあった通りを切幡寺に向けて歩いていると店頭に菅笠が置いてある店が目に入った。
そこで菅笠と納札を購入。
そして荷物を預かってもらい、買ったばかりの菅笠をかぶって、切幡寺に向かった。
門柱のところからずっと上り坂でしんどかったけど、今は荷物がないのでめちゃくちゃ楽だ。
切幡寺は標高155mにあるため、本堂までまだ結構遠い。
やっと仁王門にたどり着くと本堂に向かう333段の階段が姿を現す。
つくづく思うけど、本当に荷物がなくてよかった。
100段目ぐらいまではそうでもなかったけど、そこからが思った以上にきつくて、本堂に辿り着くころには息絶え絶えだった。
やっと辿り着いた!
自販機で水を買って一休み。
その後、本堂、太子堂の参拝とはたきり観音の銅像を見る。
大塔を見に行くにはまた長い階段を登らなければいけなく、行こうか迷っていた。
ちょうど降りてきた人がいたので、「良かったですか?」と感想を聞いてみた。
う~ん、大したことなかったかな。
前はもっと景色が良かった気がしたんだけど。
でも、私たち地元民だからそう思ったかもしれない。
人によって印象って違うから行ってみたら?
と言われ、もうひと頑張りして大塔を見に行くことにした。
時の流れを感じさせる重厚さと素朴さがとってもいい!
後から知ったんだけど、江戸時代からの姿のまま残っている歴史的にも重要な建造物とのこと。
頑張って階段登った甲斐があった。
荷物を預かってもらっているスモトリ屋さんに向けてまた333段の階段を下りていく。
スモトリ屋浅野総本店 品揃え豊富なお遍路グッズのお店
霊山寺で買いそびれたお遍路グッズ。
霊山寺以外でも売ってはいるんだけど、品揃えがあんまりなくてここまで買えずにいた。
やっとここで、菅笠と納札を購入。
菅笠の被り方のアドバイスをしてもらい、荷物も預かってもらった。
荷物を取りに戻ってきたら冷たい麦茶とチョコレートのお接待をいただき感激。
お茶で一服しながら、今日の宿についてや送迎してもらう場所などいろいろ相談に乗ってもらう。
気さくで親切な若いご夫婦と物腰の柔らかい優しいお母さまのお店で楽しいひと時を過ごさせてもらった。
2日目のまとめ 出川哲郎御用達の宿でパワーチャージ
スモトリ屋さんで休憩している時、目星を付けていた「越久田屋」さんに宿の予約の電話をしてみる。
当日予約だったので少し不安だったけど無事予約できて一安心。
後で聞いたところによると、3連休の初日とのことで最後の一部屋だったらしい。
30分ほどかかるそうで、もう少しゆっくりしてから送迎のピックアップ場所「金山商会」の方へ向かう。
この金山商会はスモトリ屋さんのご主人に送迎してもらうのにわかりやすい場所としてどこがいいかということで教えてもらった。
ピックアップ場所のメッカなのか、私の他にも3人ほど女の子たちが親の迎えを待っていた。
15分ほど待っていると越久田屋さんの車が到着。
本当に送迎は楽ちんで有難い。
癒しの遍路宿 越久田屋
素泊まり 4,000円(税込) 食事提供なし
洗濯機 100円、乾燥機 200円
バスタオルのレンタル 50円
スモトリ屋さんのご主人情報で、オーナーさんは3番金泉寺奥の院の住職の方で、出川哲郎さん御用達の宿とのこと。
「出川哲郎の充電させてもらえませんか?」という番組で突然やってきたそう。
食事はついていないが、コンビニや近くの温泉施設など無料で送迎してくれるのでまったく困らない。
結願した後、霊山寺へのお礼参りの途中にも泊ったほど大好きな宿。
- オーナーさんご夫妻がとても親切
- どこでも車で連れて行ってくれる
- 近くに温泉施設があり広いお風呂で疲れを癒せる
- お部屋にお茶菓子あり 頼めば麦茶のおかわりもくれる
- 客室や共用部も清潔 こじんまりしていて落ち着く
- お部屋が四畳半で少し狭い
- 電話が繋がりにくい時がある
- 宿の周りは畑と太陽光パネルだけで何もない
天然温泉 御所の郷
越久田屋さんで本来600円のところ500円でチケットが購入できる。
送り迎えももちろん越久田屋さんにお願いした。
御所の郷では越久田屋さんは常連らしく、受付に頼むと迎えの電話をしてくれる。
夕ご飯はここのレストランで唐揚げ定食を食べた。
温泉から帰る途中にコンビニに寄ってくれるので次の日の朝ごはんなど購入できる。
2日目 使ったお金
お昼ご飯は持ってきたカロリーメイトやお菓子を食べた。
・交通費 0円
・宿泊費 4,000円 素泊まり
・洗濯代 100円
・食費 1,080円/自販機ジュース130円、夕ご飯 唐揚げ定食950円
・御朱印 1,600円(5-10番)
・その他 2,400円/スモトリ屋菅笠と納札1,700円、五百羅漢入場料200円、天然温泉御所の郷500円
・合計 9,180円
今日の行程とちょこっと日記
朝の天気予報では雨で台風が近づいているという予報だったけど、台風がそれたとのことで大どんでん返しの明日は快晴。
今日も午後から日差しも出てきて雨もほとんど降らず良かった。
宿についてからは洗濯をし、18時に温泉まで車で連れて行ってもらった。
広い湯船にゆっくりつかって汗を流した。
もう最高!!!生きていてよかった!
夕ご飯も普通の唐揚げだけど、すごく美味しく感じた。
お風呂で疲れを癒し、お腹も満たされ、清潔な布団で寝れる幸せ。
充実した1日だった。お遍路っぽくなってきたぞ。
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